セロー250でユーラシア大陸横断 96

7/14-7/17

物価も安くてなんとなく落ち着く街並みのアダナ。朝になってもう一泊したくなりましたが出発。

そろそろヴァンの街でタイヤ交換してから3000kmになるのでバイク屋へ。この頃クラッチを切っていてもエンジンがたびたび止まる症状が出てきて心配です。

ジョージアのバイク屋でクラッチをそろそろ変えたほうがいいぞ、と言われていました。日本でお世話になってる石原商店さん、トルコで初日に出会ったライダーのウムトに連絡してイスタンブールで交換することにします。

ここのバイク屋さんもとても親切でチャイでもてなさながら何の肉が好き?と翻訳で訊かれ、何の話だと首を傾げていると店にいた他のお客さんがどこからかケバブを買ってきてご馳走してくれました。

しかもオイル代も割引してもらってあちこち注油までしてくれます。バイク屋さんでこんな世話してもらった記憶があまりなくて驚きつつ嬉しくなりました。

午前中から降り注ぐ殺人日光に耐えきれず薬局で日焼け止めを購入。旅仲間がアンタルヤで5000円取られたと聞いていたので物価の安いアダナで入手。1600円でした。肌のダメージはそこまで気にしませんが、これがあるだけで疲れ方が違います。

良い街ですがとにかく信号がたくさんあって止まるたびに息が止まるような思いをします。南部は優しかった運転もこの頃どんどん酷くなってきて、道路は煽り幅寄せ右からすり抜けしてくる車などルール無用の無法地帯と化していてとても疲れます。

しかもアスファルトの質が悪くてよく滑り、なぜか停止線と同じラインに信号機があるので先頭に停めた車が青信号に気づかずクラクションで車が流れ始めるのが常態化してて走りながらたくさんの疑問が生まれました。

事故が怖いので運転中は深く考えずとにかくぶつからないことを第一にしています。

メルスィンという街から海沿いになります。まだまだ都会の海という感じで特別綺麗ではありませんが、海沿いに来るだけで気温が5度くらい下がって風が涼しくなり感動しました。

トルコアイスを食べて休憩。60円くらい。好きだけどあのアイス取らせないパフォーマンスが大嫌いで敬遠してたのですが、昨日の電話で観光地以外は普通に渡してくれるし安いよ!と教えてもらって初トライ出来ました。これはハマりそうです。お勧めされたレモン味が爽やかで最高でした。

多少涼しくなっても暑さと交通量で疲れてしまって、海沿いのレストランへ。チャイだけ注文。5リラで25円くらい。トルコで初めて自分でチャイ代を払いました。値段すら知らなくてずっといくらなのか気になっていました。お世話になり過ぎています。

Narlıkuyuという街をすぎたあたりで幹線道路から逸れてみると、とんでもない美しさの海が現れました。これが地中海の本気か!と大興奮。海上レストランがあって金がなくて入らないのにワクワクしてしまいます。

車じゃ入れないダートが海に続いていたので入ってみると、素敵な入江とテントを張れそうなスペースを発見出来ました。

さっそく設営して脱ぐ時間も惜しくなりながら海に飛び込みます。岩場からエントリーしたので1人だと少し心細くなりますが、美しい海に浮かんでいると高揚が上回りました。

沖縄の珊瑚礁のあるもっと綺麗な海を泳いだことはありますが、ロシアから砂漠や草原のある大陸を横断してきてから自分の車両でたどり着いたこの地中海は格別に美しく感じます。

泳いでビール飲んでを繰り返してたら日が暮れました。メガネなのが本当に残念です。コンタクトをもっと持ってくるべきでした。

夜になると風が止んで寝苦しく、夏の海沿い野宿の難しさを感じます。

周りがリゾートなので夜でも時折船が通りかかって爆音の音楽が海上から聴こえていました。

朝日を感じて自動で目が覚めます。やはり強烈な日差し。あまりにも夜が短くて辛いです。

ひと泳ぎしてから出発すると、sokというスーパーで水中眼鏡を発見。さすがリゾートだと思いながら値段を見ると、なんと200円!わかってきたつもりのトルコの物価を一気に見失う値段です。もちろん購入。

折りたたみの椅子も1500円くらいで良いのがあったのですが、サイズまで立派すぎて鞄からはみ出てしまうので断念。

たびたびキャンプ用品店でマップを調べながら進んできたのですが、アンタルヤにヘリノックスを取り扱うアウトドアストアを見つけたので寄ることにしました。タイミング悪くこのままだと定休日に着きそうで、どこかで時間を潰すことにします。

そうと決めたら俄然のんびりしたくなって、良さげな崖を見つけたら買ったばかりのゴーグルを掴んで泳ぎに行きました。

かなりの急斜面で人も来ないし魚が触れそうな距離にたくさん。コンタクトがないのが悔しいですが、水中はやや視力が上がるのでよい景色が見られました。

磯で釣りも試みますがルアーをロスト。気づいたら飲み水が切れてしまってふらふらになりました。

しばらくすると2車線の幹線道路は1車線の崖沿いの道になり、交通量が多いものの海を見下ろす素晴らしい眺め。反対車線の切れ目にダートがあって、車を避けながらなんとか飛び込むと海沿いに張り付くように道が続いています。

ほぼ廃道で崖崩れしていて危険でしたが、景色が良くてつい行けるとこまでいってしまいました。

あんまり綺麗で野宿したくなり、一度街に戻って長いトンネルの先にあった商店で買い物して戻ってきました。

引き返す時にトンネルの横に旧道があることに気が付き、そちらを回るといくつかダートを見つけましたが、どこも海まで降りる道は途中で崖崩れしてきて通らなくなっていました。人気がないので道幅の広いところでテントを張ります。

浅いところの透明感と深いところの青さが一望できて高所から眺める海が好きです。

目線の先が水平線なので自然と遠くを見ることになって気持ちが安らぎます。

しかしあまりにも暑い上に、テントを張ってから風が強くなり吹きつけてくる熱波にうんざりさせられました。ときどき水を被りますが飲む分も必要で無駄遣いはできません。例のトゲトゲ植物も生えてて頻繁に痛い思いをします。

写真を撮る時にスタンドがめり込みバイクが倒れてしまったのですが、その時の衝撃で愛用の鍋がひん曲がってしまっていました。泣きっ面にハチ…などと考えていると料理に使ったハチミツに反応したのか本物のハチにもしつこく襲撃されて散々でした。

次は海沿いでもなるべく木陰にテントを張ろうと反省していたのですが、その夜に事件が。

日没後からとんでもない強風になってしまい、ポールが折れる寸前に。これまでも見晴らしのいいところで風を受けることは何度もありましたが、今回は本当にテントが壊れてしまうと感じて深夜の2時にテントを仕舞うことになってしまいました。

日本一周からたくさん野宿はしてきたけれど、一度出したテントを夜中に撤収させられるのは初めてです。しかもそんな強風でも気温は30度近くあって汗が止まらないほど。

眠さも相まってヤケクソになり、シートとマットだけだして野晒しで眠り直しました。これも初体験。雨が降ることないこの辺りではこっちの方がいいかも。

強風をずっと浴びながら意外とすんなり眠ることができました。

3時間後くらいに陽が出てきてしまって、二度寝も限界です。最後の仕上げだと一段と強い風に鍋が持っていかれ、崖の底に鍋蓋が飛んでいってしまいました。

あまりにも悲惨なことばかり起こる野宿地で、これまで幸運に支えられて快適に野宿出来ていたのだな、と思わされます。

撤収中もずーっと強風で隙を見て道具を仕舞いましたが、寝不足と疲れで目が吊り上がり気分も最悪です。

せっかくの綺麗な海もちょっとうんざりで距離を置きたくなりました。

アムナルという町の辺りからかなり標高が上がってきたのですが、東南アジアのようなツルツルで急な勾配斜度カーブが続いて恐ろしい思いをします。

地図ではキプロス島が近いのでこれだけ高ければ見えるかな、と海の向こうを注視していましたがついに水平線しか見ることができませんでした。

ガジパジャで昼食。バーガーキングがあって覗いてみましたが、あんまり高いのと接客が酷すぎて地元のロカンタへ。

ひき肉と茄子トマトの炒め物、ブロッコリーの揚げ物のヨーグルト和え、ピラフを注文。おかずにヨーグルト?と思ったけれどこれが意外と美味で酸味がよく合いました。

寝不足で海沿いの道を走ることに限界を感じたので、少し地図を見て見つけた川沿いに走って行くことにしました。

途中アスペンドスという有名な遺跡に通りかかりました。入場料1100円ですが、入ってみると信じられないくらい保存状態のよいローマ劇場を見て、自由に上まで登ることが出来ます。

5世紀ごろ建造されて、今でも舞台や映画祭などのイベントで利用されてるそうです。周りの遺跡も当時の暮らしが想像出来て思わず暑さを忘れてしまうほど楽しめる場所でした。

思わぬラッキーにホクホクしていると目的地の川に辿り着きました。これも想像を遥かに超える美しさです。流石に美しすぎたのかトルコ人がたくさん遊びにきていて、川沿いの良いところは林道の奥までほとんど押さえられていました。

なんとか良い隙間を見つけてテント設営。ビールや食料を買い込み、キンキンの川で何度も泳ぎました。やっぱり圧倒的川派です。急に天国にやってきたせいで海沿いに戻るのが嫌になって、翌日も買い出しだけ行って2泊してしまいました。

川下りのジェット船がたびたび通りかかって冷やしていたビールが持っていかれ2日目は悲しい思いをしましたが、ほんとうにつかの間の天国のような場所でした。

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