セロー250でユーラシア大陸横断 47

9月1日

テントを開けるとこの景色。素晴らしいキャンプ地です。とはいえ寝不足に加えて昨日のワインが引き金になり高山病に。症状は軽めですが頭痛でなにをするにもだるさが付きまといます。

せっかくのキャンプ地をだらだらと12時まで味わい再びポーターに荷物を預けて出発。ピークを目指していたMさんですが、例年より早く山を閉めるようでキャンプ2以降はMさん以外無人の状態になってしまうという状況で、挑戦を断念されていました。クレバスや雪崩が多く今年は1人、多いときは数十人単位で死者が出ることがあるそうです。僕も予定していた5000mの山への登頂を断念しました。理由?   …ワイン由来の高山病。

先頭を歩いていたMさんが氷をぶち抜いて沈むというハプニングはあったものの、おおむね平和な氷河歩き。帰りも道は見えないのですがなんとなくルート選びのコツを掴めていたので行きほど苦労はありませんでした。

ちなみにベースキャンプからキャンプ1までは片道15kmほど、登りなら5~6時間です。

昨日よりさらに気楽に歩いています。ペース自体は早いものの足も出来てきて、やはり帰り道は楽なものです。

こんながけっぷちを荷物満載の馬が歩いていくんだから驚きです。人間単体ならかなり復帰が大変だけれど即死するような場面は少なめでした。

登山口に戻ってくるとどっと疲労がやってきました。道中川が増水してう回路を探し、1時間ほどロスしたのが効きました。落ちたら死ねる濁流だったので結局浅めの箇所をポーターの馬にしがみついて渡河。高山病は工程の半分も来たところで完治。

昨日と別のポーターに荷物を任せたのでそこまで歩き、今日はそこに泊るMさんに便乗して晩御飯をいただきお別れ。おだやかな人で一緒にいてとても楽しい時間を過ごすことができました。

ちなみにポーター代は1kg2ドル。海外登山の相場では格安だそうです。何度も確認をしていたのに案の定3ドルだと話を変えてきたので揉めます。疲れて話がしんどくなり、無言で2ドル計算のお金を差し出すと確認もせずにポケットに押し込んだので解決しました。詐欺も適当なやり口です。

呼び出した昨日のポーターの馬に乗り1kmほど登山口方面に戻ってコンテナに帰ってきました。バイクの預かり料が10ドルだというのでここでもひと悶着。ユルタに宿泊が5ドルだという前情報をMさんに聞いていたのでその話をし、するとバイクが5ドル、荷物が5ドルだと言い出します。コンテナに運び入れるときに荷解きを指示したのは向こうなので引き下がらず5ドル渡すとなんとか交渉成立。

向こうもいうだけいってみようという気で悪意がないので険悪にもなりません。遊牧民と何度か付き合いがあり、彼らとしゃべるときこちらも遠慮をしないように意識しています。

テントを出そうとすると、なぜか無料でユルタを使っていいぞと言われ結局宿泊のような形になりました。要求は遠慮ないけれど、向こうも出し惜しまない。そんな価値観の人が多いように思いました。

9月2日

上でテント生活をしたおかげで寒さも感じず、自分のエアマットで快眠。ゲルの中は荷物がないのでやや寒かったですね。とはいえ荷解きせず風も感じないので快適でした。出るときに針金で施錠して出発。

初日夕方について走れなかったベースキャンプから登山口までの区間を走ります。もういうことがないですね。キルギスに満足。

悪路を再び走って12時過ぎに舗装路に復帰。

いよいよキルギスを出てタジキスタンへ入国します。2時間ほど走って国境へやってきましたが、ここでトラブルが。キルギスは通関の書類をロシアなどの近隣4か国と共有してるそうなのですが、タジキスタンはそこに加入してないのでロシアで作成したバイクの通関書類提出が必要だというのです。しかし僕の書類のスタンプ部分がにじんでいるのが問題にされました。

あまり思い出したくないし偏見を持つようでよくないのですが、本当に一目で分かるクソヤローという風体の男がオフィサーです。目を見たらわかる、という表現に初めて納得がいきました。

そこから始まる脅しの長いこと長いこと。お前はロシアに戻り、新しい書類を作らなければいけない。オシに戻って書類を送り、ロシアから新しい書類を送ってもらわなければならない。

こちらが矛盾をついて指摘するたびに壊れたロボットのように何度も同じ話をしてきてユーアンダースタン?ソーリーミスター。とこちらを馬鹿にした顔で話をやめたがります。そしてボスに聞いてみる、とこちらを追い出し焦らして疲れさせる作戦。2時間くらい待ってなんだかこの場にいるのがめんどうになります。

そのうちマイフレンド、俺はお前を助けたいんだ。わかるか?とたぶんお決まりの文句。思わず視線に殺意がこもってきます。殴りつけらたどれだけすっきりするだろうか。とはいえもちろんそんなことはできないので結局70ドルもの大金賄賂を支払い。

最低の幕引きですが、これでキルギスが嫌いになることがなかったのは幸いでした。いい思い出ばかりで、たまたま最後に人の不安に付け込んで私腹を肥やすクソヤローに出会ってしまっただけなのです。願わくば家の中で頭を打って人に迷惑をかけずお亡くなりになれ。

はやく忘れたい事件でしたが、まさかのタジキスタン側でも賄賂請求。うんざりです。

とはいえ国境を通りに来たタジクの人は感じが良く、国境から景色が良かったのがタジキスタン側のゲートを超えた瞬間にさらに壮大な道のりになってきました。

バイクで4650mの峠を越え、なんとか心を切り替えて新しい国へのわくわくが湧き上がってきます。国境越えにもめてすっかり遅くなったので国境から数十キロの地点で野宿。

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