セロー250でユーラシア大陸横断 37

8月7日

3週間も沈没した宿を離れるときは中々表現しがたい気持ちになります。一緒に長く滞在していたメンバーも今朝早くに旅立ってしまい、ホステル内もなんとなく寂しく見えます。

ビシュケク市内からアルマトゥイ方面に戻り、カザフとの国境沿いの道を快走。一時の殺人的な日差しよりましになったものの、やはりまだ暑いです。

東に百数十キロ走るとキルギスの有名な観光地イシククル湖に到着。琵琶湖より大きそうな巨大な湖で水平線まで見えるのに青く透明感があって美しいところです。湖沿いになるとかなり涼しくなり、快適なツーリング。左手にも湖を挟んで対岸の右手にも高い山に挟まれキルギスへの期待が高まってきます。

湖の北側は観光地で人が多く走りにくい上に野宿地が見つからず苦労しました。牧場のような道のない草原と森を抜け、なんとか岸辺を見つけて野宿。こんな僻地にも地元の青年たちがいてうんざりしましたが、穏やかでいいやつらで握手してあいさつ。

ザックを止めていたゴムひもが悪路でフルボトムした際についに切れて大ショック。荷物をあさって考え、100均の洗濯ひもを束ねて結び、カラビナを取り付けてザックを固定することにしました。黄色で目立つのが難点だけど機能はばっちり。

8月8日

キルギスの有名なトレッキング観光地、アルティンアラシャンへ。激流の渓谷沿いを14kmほど歩いてベースキャンプに行き、それからさらに徒歩や馬で標高3700mのアラクル湖を目指す人たちでにぎわう場所です。

今回はそんな場所にバイクで挑戦してみました。車高の高い4WDのジープやトラックがお客を載せて走ってはいますが、正直かなり難易度は高め。

水気が多い場所なので道が隆起し、がれ場も多く終盤は崖をまいて登ったかと思えば急登の丘超えが待っています。丘も岩がらみで手を焼きました。幸い雨が降っていなかったのか走り切ることが出来ましたが雨の跡は丘でスタックしてどうしようもなくなる展開が予想できます。

とはいえ多くのハイカーに手を振られ、そんな人たちを抜かしてバイクで走っていく気持ちよさと丘を越えたときの達成感はかなり充実していました。

ゲストハウスで知りあった日本人の方と一緒にトレッキングしようと待ち合わせていたのでVIPトラベルというところを訪ねました。なんとテントは無料で張らせてもらえるのにシャワー、トイレ、さらにバスタオルまで貸していただけました。スタッフの方の人柄がとても素敵です。

待ち合わせた人と合流し、お目当てだった温泉へ。川沿いの崖上に細い道があり、20分も歩くと激流の中に湯船が現れます。お湯はぬるかったものの3か月ぶりの温泉に感動。ロケーションも最高です。ちなみに無料。有料の屋内温泉も他のゲストハウスにあるそうです。

明日はここからアラクル湖までトレッキングに行きます。途中まで馬で上り、最後の急登は自分の足で上がると雪山とエメラルドグリーンの湖が待っているそう。自分の足で日帰りすると14時間はかかるそうで、迷わず馬を選択。こういうときザックと山岳テントの組み合わせで旅をすると自由度が高くてよいと思います。しかしタープと居住空間の重要性が身に染みているのでテンゲルのミニグランピングのようなスタイルがこの旅ではベストだと感じています。

ホーストレッキングは馬が1頭1000ソムでガイドが1500ソム。ガイドは必ず必要だがシェアできるので僕含め日本人3人とキプロス出身のと4人、さらに何人かでシェアして一人トータル1370でいけることになりました。

椅子を出してたばこを吸っていると段々冷えてきてジャージとライトダウンを久しぶりに引っ張り出します。ウォッカをのみながら風にあたりくつろいでいると最高の気持ちになってきました。

8月10日

朝から土砂降りの雨。ツアーなのでしぶしぶ出発。

人生初のソロ乗馬に興奮していたのも最初だけで、降りやまない雨にすっかり体が冷え切って震えが止まらず意識がもうろうとします。途中休憩をはさむと思ってカッパの下にTシャツのみだったのですが、まさかのノンストップですっかり低体温症に。

しかしそんな状態でも思わず息をのんでしまうような絶景。晴れていたらどんなに良かったか。馬もぬかるみで足を滑らせたりしてつらそうです。とはいえ優しくしすぎると進んでくれないので心を鬼にして足を使います。トゥーというと進み、手綱を強く引くと止まります。曲がりたいときは体重移動や手綱を使用。だんだん慣れてくると自由に進めて楽しいです。

狭い森で渋滞しながら歩き、その低い木の枝に顔をぶつけたり、渡河や岩場やぬかるみで
馬が足を滑らせるのにハラハラしながらなんとか2時間半くらいでアラクル湖手前のベースキャンプにつきました。

湖までの最後の工程は1時間ほど徒歩で上ります。馬を降りて飯を食い、なんとか動けるようになりました。しかしあいにくの天気でほぼ惰性で崖を登っていきます。かなりの斜度で気持ち的にしんどい道のり。

やっと見えた頂上も霧に包まれていて、やはり諦めながら登り切りました。

しかしまさかの逆転勝利です!上だけが晴れていてエメラルドグリーンの湖と深い雪山の山脈が視界一杯に飛び込んできます。思わず叫んでしまいました。

みんな景色を楽しむ間もなく下山してしまったので日本人の女性の方とたばこを吸いながら粘り、思う存分感動を味わってから下山。

下りは朝が嘘のように晴れ、雨上がりなのでもやもない素晴らしい展望が広がります。視界に入り切らないほど大きい岩山やその下を流れる川を眺め、草原で風を浴びて森を抜け。歩いても最高の思い出になるようなそんな道を馬の背中で揺られながら行けるうれしさは味わったことのないほどのもの。

疲れがたまっていて馬に乗るだけで疲労がつのるが帰りは休憩があってのっぱらで寝転がってのんびりできます。

アルティアラシャンに帰ってきても天気がよく、どこを見ても感動してしまうほどなのでかえって朝の酷い体験のおかげでより楽しめた気がします。

宿でシャワーを浴びて夕飯をいただき、ビールを飲んでおしゃべり。タバコを吸って体が冷えてきたところでテントへ。まだまだ居てもいいけれど昨日のような雨が続けばバイクで帰るのが困難になります。なので明日は昼までゆっくりしてカラコルで一泊する予定。充電もしたいしブログも書かなければ。

明け方3時に起きだすと頭上に満天の星。流れ星をたくさん見ることが出来ました。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク

コメント

  1. ヤマケン より:

    てっか 様

     しばらく更新されなかったので気になっていたのですが、元気そうで安心しました!
     キルギスもとて興味深いです。
     また、国境の地名や、どのように通過できたか等とても参考になります。
     これからもよろしくお願いします!    ご安全に!!

  2. てっか より:

    ヤマケンさん

    野宿が中心なので宿でまとめて更新することが多くなることがおおいです。
    日本では知名度が低いのですが旅人には注目されてる国だと思いますよ。