6月19日
アルタイを出発して西へ。一週間ぶりの舗装路がとても快適です。アルタイの近くは山間で舗装路からも美しい展望。山を抜けるとまた地平線の広がる荒野です。今日はやたら声をかけられたり対向車に手を振られたりします。遊牧民の人と握手して会話。
ゴビの遊牧民とは「よう!」 「…(10分経過)」 「じゃあな!」という感じで一緒にぼんやり時間を共有してさっと別れることが多く、僕はこのさっぱりしたやりとりが嫌いではありませんでしたが、アルタイより西に来ると向こうからがんがんアクションがあるので新鮮です。
途中寄った小さい町にドライブインがあり、久しぶりにまともな食事。しかしこれもいつもの羊肉風味がじわりと漂いちょっとがっかり。
ハンドガードのボルトが緩んでたのに気が付いてモンゴル人の2人が一生懸命直そうと手伝ってくれました。ほんと今日は気のいいひとに多く会います。
町を出ると荒野にだんだんと山並みが近づいてきました。とても高い山脈で万年雪もちらほらと。このあたりはゲルにプラスで土のレンガや石で出来た建物が多く面白い景色でした。
最後に寄った道沿いの売店でまたフレンドリーな家族と記念写真。大家族全員にとても注目されてちょっとどぎまぎ。バイクをべた褒めされて誇らしいです。
地図を見ると巨大な湖があったので、その辺りでキャンプしてあわよくば釣りしようと思います。道が無いので懲りずに荒野を横断してやってくると水平線の見える巨大な湖が。対岸にはいくつか山も見え、とてもいい景色です。ゲルが多くて野宿地があるかなぁと不安に感じたのですが、いい感じの空き地を見つけて入っていきます。すると奥にKTMのバイクとテントを発見!ツーリストでした。
挨拶して僕もテント設営。椅子を持って行って一緒に飲みます。アルゼンチン出身でニューヨーク在住のマルティン。僕とちょうど逆のルートで走ってきたライダーでたくさん情報交換をしました。なんという出会い。すごい偶然です。日本にも3回来てて好きらしく、今度は来たら案内するからと連絡先も交換しました。ジョージアのワインを分けてくれたので楽しい宴になりました。とにかく蚊が多くて大変でしたが…。いい出会いが出来て嬉しいです。
6月20日
朝早くに起きだして釣りをすると水草で根がかり。軽く竿をしゃくると一発でぽきりと折れてしまいました。唖然です。いくら安物とはいえこれでは魚かかってもダメだったのでは…。
マーティンとお別れしてボブドという町にやってきました。坂道から街が一望出来て綺麗です。大きな町だし釣り竿もあるかな、と思いましたが見つからず。代わりにモバイルショップを見つけたので、使いすぎて後がないプリペイドsimを3GBチャージしました。約450円。お手軽です。
ボブドの郊外は川が流れ川岸の草原にたくさんのゲルが並んでいます。みんな川べりでめいめい穏やかに過ごしていてとても素敵な景色でした。
町を出ると再びダートに。一週間ぶりの舗装路を走り、こんなに楽で速く進んでいいものかな?と疑問だったのでこれこれ!やっぱモンゴルはこうじゃなくちゃね、と嬉しくなります。
地平線まで続く道を展望。山を登っていくとトムラウシのロックガーデンを思い出す岩岩岩の景観。バイクに乗ってこんなところを見て回れるのですからやはりモンゴルは凄いところです。自分の足でじっくり進んでいく登山も大好きですけどこれはこれ。
どうやら道を間違えていただけのようで、しばらく走ると幹線道路にぶつかりました。一応方向を確認していると目の前から荷物満載のR1200GSが。手を振って合流しさっそくトークタイム。
サラエボから来たチュポ。本名が聞き取れなかったのでニックネームですが。サラエボから陸路で僕と同じルートのようです。マーティンに続いて嬉しい出会いで話が盛り上がります。サラエボでパブをやっているから店に来て飯を食って泊っていってくれ!と言ってくれました。若い姉ちゃんがポールダンスもしているぞ、と聞いて思わずどきどきする25歳僕。
DBSフェリーで日本に渡るようで、北海道の稚内まで行って横浜からバイクを輸送。本人は東京から飛行機で帰国するそうです。とてもいい男なのでみなさんもし見かけたら優しくしてあげてください。東北のことを熱くプッシュしておきました。とはいえここまで42日間で来ているクレイジーな男でもあるので、もしかしたらこれをブログに上げるころには完走している可能性まであります。
チュポと別れて走ると幹線道路はどんどん両サイドに山が近づき、流れのはやい川も流れ言葉を失うような景色。小雨がぱらつくので久しぶりにイージスを引っ張り出しましたが、雨がやんでも今度は気温が下がってきてそのままに。
雪山が見えてテンションは最高です。天気が良ければ、と思わなくもないですがおかげでいい出会いが出来たので今日がベストのタイミングでしょう。ゲルも風景に溶け込んでいて素敵でした。同じ形状なのに設営された場所でまったく違う良さを感じます。どんな暮らしなんでしょうか。たぶん受け入れてもらえるとは思うのですが、なかなか自分から人の家にお邪魔する勇気がありません。
いろんな人がたくさん手を振ってくれるなか、一際アピールが凄かった少年たち。片方の子が大人のように気づかいのできる子で、はしゃぐもう1人の背後でごめんね、とこちらに謝ってきて吹き出しました。そのあと2人のお兄さん?がやってきて、引き留めてすまないな。どうぞ行ってくれという仕草をしました。
道が工事中になり盛り土で封鎖されているので幹線道路の脇のダートを走ります。車が増えてきて砂ぼこりがつらい道。そのあとも舗装路と交互に道が続いていきました。ダートを走っている時に対向からまたツーリストが!
オランダ人のウィリアム。KLEに乗っていてなんとユーラシアを横断して日本、日本からカナダ、北米からヨーロッパという地球横断ツーリングの真っ最中。めちゃくちゃハイテンションな気のいい男でこれまた大盛り上がり。情報交換もはかどります。かれもモンゴルで2つの轍に前輪後輪がばらばらに取られ(コース走る方は分かると思います)転倒。カウルをダクトテープで補修していました。いいですね、まさに旅人。
道端なのにたくさんおしゃべりして連絡先交換して別れました。彼も日本に来るのでライダーのみなさんは会ったらぜひ声をかけて友達になってくださいね。すごく楽しいですよ。
嬉しい出会いにほくほくしていると、今度は道路沿いの瓦礫除去をしている作業員の人たちがみんなで手を振ってくれました。総勢100人くらいが4チームで点在しているのですが、こちらに気付くと全力で手を振ってくれるので圧巻。嬉しすぎます。
いよいよ寒くなってきたところで再び雨。だいぶ標高が高くて周りがどんどん雪山になってきました。ガソリンが少なくなり、タイヤも温度差のせいか空気が抜けてきていて走りに違和感。ちょうど美しい湖があるので一度休憩しました。
奥に大きな山脈があり何も音のない静けさがとても気に入りました。マーティンに教わったウルギーの安宿まであと40kmもありませんが、せっかくなのでここで一泊していくことにしました。
寒い中湖眺めてすするラーメンの美味さといったら!
草原を下って湖に降りていくと平らな土地が広がり、ゲルも遠くにあるので気になりません。小雨が降る中たばこを吸いコーヒーを楽しんで読書。今日はゆったりして明日はすぐに宿に行き、調べ物やブログを進めたいと思います。