セロー250でユーラシア大陸横断 86

6/22-23

エレバンを出発します。リダおばあちゃんが今朝もコーヒーを淹れてくれてのんびりしていると強めの通り雨が降って、休んでる間に雨宿り出来ました。

南下してイランの国境があるシュニク地方というエリアを目指します。車でギチギチのエレバンを抜けると高速道路になってしまって退屈な道のり。

朝ごはんにドライブインに寄るとイラン人ライダーと遭遇しました。ジョージアやアルメニアを回って帰る途中だそうです。イランは法律で250ccまでのバイクしか所有できないそうで、セローも同じ排気量だというと嬉しそうにしてました。

雨雲に追いかけられるように南下を続けますが、天気が悪いといまいち気が乗りません。

ジョージアもアルメニアも不快な運転をする車が多くて、前が詰まってるのに幅寄せ割り込みを何度もされるので舗装路を走ると疲れてしまいます。なのでたびたび良さげな山を見つけるとエスケープ。

渓谷沿いを走るとあちこちに椅子や休憩所があって素敵でした。この緩やかな精神性を運転にも発揮してほしい。

道がだんだん傘の少ない広陵とした山と渓谷の間を走る道になり、お昼時にお店がなくてやっと見つけた露天で干し肉と香草玉ねぎをパンで挟んだ食べ物を購入しました。

香草がかなり多くて食べれるか不安だったけれどこれが絶品。肉の油を香草がぜんぶ爽やかにしてくれてもりもり食べれます。

せっかくなのでまたバイクで山の上に登ってピクニック気分でいいランチが取れました。

アルメニアの通貨ドラムは1番大きい紙幣が20000なのですが、お店やガソリンスタンドでたびたび使用を断られたり嫌な顔されたりしていらっときます。これは結構いろんな国で困らされる問題です。

地図を見ていると面白そうで、メインの道を外れてMartirosという集落に寄ってみました。

山を登っていく道で再び丸っとした高原の景色が広がってきます。

かなり小さな集落で外れに電波塔があり、そこからの景色が素敵でした。

集落の奥にも道が見えたので走っていくとなにやらトレイルの看板が。特に車両の制限はないようなのでせっかくならとバイクで山の上を目指してみることにしました。

お花畑や草原を抜けてどんどん高度を上げていきます。二、三台車が走っていて、たまに設置してある東屋を使ってピクニックをしているようでした。

走っている時は天気が悪く、こんな道を曇ったまま通るのはもったいなくなりテントを設営。直後に晴れ間が見えましたが、ここで寝れるならと開き直りました。

夕方牛の声が近くで聞こえると思ったら放牧させている牛飼いの人がやってきていました。付け焼き刃のロシア語だけではうまく話せないけど悪く思われてるわけではなさそうで安心。

何もせず流れてく雲や西陽の当たる山を見ていると半年ぶりくらいに心がリセットされたような気持ちになりました。ジョージアから思いがけず自分には勿体無いような友達が出来たりしたけどやはり旅には完全に1人になれる時間が必要です。

人と話すのは好きだけど体力とは違うエネルギーが必要なので良い充電が出来ました。

夜は星が綺麗でかなりの冷え込み。天気が良さそうなので昨日の続きを走ります。

山の尾根まで登ってくると息を呑むような景色。草原を走りいくつかの山を縦走できます。まさかこの標高の山奥にこんな道があるとは。冒険心が刺激されます。

時折とんでもない沼地や荒れた区間があり、靴はびしょ濡れ。

ついに峠を越えて道が降り始めます。車の轍があるのが信じられない斜度。あまりに美しいのでバイクを降りて張り切って写真を撮っていると転倒しかけました。

転ばないよう踏ん張った時にブチっという音がしたかと思うとお腹にとんでもない激痛が。どうやら腹筋の筋を痛めたようで、文字通りのたうち回り30分ほど動けませんでした。カバンから痛み止めを出して飲み込みなんとか走り出します。

笑うと痛いけど思わず笑ってしまういい景色。道がどんどん荒れてきて腹筋にダメージが。

なんとか降り切ってgomk という集落までやってきました。

アゼルバイジャンとの国境が近く、昨日から小銃抱えた軍人を見かけたのですが、なんと普通の民家の中庭に戦車が置いてあってびっくり。さすがに少しおっかなくてすぐに立ち去りました。

村の入り口にあった勢いのすごい地下水。久々の野宿で水の量を見誤っていたので喉がカラカラでした。ありがたい。

自分の越えてきた山を眺めながらメインの国道へ戻っていきます。ほんとうに来れたのが幸運なエリアでした。

舗装路に戻り国道を走っていきます。vorotanpass という峠を超えるとシュニク地方なのですが、標高が高く景色がいいのにバイクを停めるのも困難なほど強風が吹いていたので大変な道のりでした。

凍えながら駆け込んだフードコートでラフマジョという薄いピザのようなものを食べました。ひき肉と香草のシンプルな一品で美味しい。

シシアンという街までやってきましたが、どこか排他的な雰囲気があります。兵隊の数も増えてきました。

国道は大きな崖をつづら折れで谷底まで降り、また対岸の同じ標高まで登っていく道になったのですが、トレーラーなども走るため交通量の多いアルメニアの道では渋滞が起こり始めました。

喧嘩して突然止まる車やブラインドコーナーなのに80km以上出して追い抜きかけていく車がいて不快で危険。

そのうえなぜかくしゃみが止まらず、その度に痛めた腹筋に激痛が走るので拷問のようでした。

国境が被る関係でシュニク地方へのアクセスは実質これ一本道。こんな道を進んで引き返すのが嫌になってしまいました。

そんな時に現れたのがタテヴ修道院でした。シュニク地方、そしてアルメニアでのハイライトになる建築。

これでシュニク地方に未練が無くなったので野宿地を探して引き返す事にしました。日本の林道のような薄暗い森の中で泥に足を取られて立ちゴケ。

この後もいくつか林道に入るもののどこも適地がなく、出口でもう一度立ちゴケしてしまったので一度休憩を取る事に。

夕方やけくそで登った舗装路のすぐ上にある原っぱが車が入りにくく、木のおかげで目視で気づくような距離からは隠れられそうなのでテントを設営。

アプリコットというフルーツを使ったワインで晩酌。びっくりするような甘さでこれは日本でも流行りそうな味。

朝一フル積載で山を越えてきたので本当にくたびれたようですぐ寝てしまいました。

3年くらい前に投げ銭機能を実装してほしい、と言われていたのを思い出して導入してみました。

面白かったらビールやコーヒーを奢る感覚で使ってもらえたら嬉しいです。

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