10月6日
国境に向けてとてつもない数の車が列をなしています。バイクで横をすり抜けて先頭へ。
中央アジアでは地元の車が待たされていてもツーリストは入れてもらえることがよくあるので、国境ではとりあえず一番先まで行って話をしてみるのが一番です。今回も問題なくゲートに入れてもらえました。
どちらの国境側もとてもフレンドリー。キルギスタジクと腐ったオフィサーにイラつき疲れる国境越えだったのでむしろ癒され笑顔にしてくれる両国への愛が深まります。段取りはよくないけど手続きはシンプルなので合わせて1時間とちょっとでカザフスタンに2回目の入国。
反対側にも車が長い列を作っています。普通の乗用車の上に山盛り荷物を積んで並ぶ姿は
さながら現代のシルクロードです。国境を行ったり来たりで商売してどれくらい儲かるものなんでしょうか。国境にはそんな行商人向けにたくさんの食堂が並び、ここでウズベクのお金を使い切って気持ちよくスタート。
そういえば600kmの無給油区間と聞いていた道のりでしたが、確かに普段入れるオクタン値92のガソリンこそないものの、80はちょくちょく手に入りますし大型の外車などは分かりませんが250㏄のインジェクション車なら問題なく通り抜けられると思います。ガソリンスタンドではないブラックベンジンマーケット、なんて呼ばれる小売も存在しました。
ベンジンとはガソリンのことです。
カザフスタンに入ると92のガソリンも手に入りますし、なによりスーパーの品ぞろえに感動。キルギスタジクウズベクは1つの商店で買いたいものがそろうことがなく、買い出しはあるものをこまめに買って何度も行かねばいけないのがストレスでした。
はじめに出てきた町でお金を下ろそうと走っていくと、バイクのFスプロケ付近から突如これまでにない激しめの音が聞こえてきます。街の入り口にある踏切をこえるときに左足にめこっと何かがぶつかり、そして落ちる音。バイクを降りてみてみるとさっき張ったばかりのチェーンがこれ以上ないほどゆるみ、さきほど足にぶつかったのは真っ二つに折れたスプロケカバーでした。たるんだチェーンが暴れ内側からカバーを吹き飛ばしてしまったようです。どうにもできないので供養して先に進みます。
カザフのお金テンゲの価値を忘れて3万テンゲ下ろしました。あとで調べると現在1テンゲ約0.27円なので1万円程度。船に乗るだけなのでちょっと多すぎます。ウズベクでは結局1度もATMでお金が下ろせず、常にドルを両替して使っていたのでスムーズにお金が手に入るのにも感動。
市場が出ていたのでサンダルを購入しました。数か月前カザフで買ったサンダルが壊れたのですが、今回もこの国で買うことになるとは。お金も余るしとちょっとお高いスポーツサンダルをチョイス。ドライフルーツや野菜も買って町を出ます。
飛行機の部品運搬。
140kmほど走ってカザフ側でも地平線を眺めながら野宿。地平線の中隠れようもないのでなるべく丘になったところの窪地にテントを張ります。日に日に寒くなってきました。珍しく出た雲が赤く焼けて綺麗でした。
このところネットから離れているのですが、やはり使えない方が旅をより楽しむことが出来ます。日本一周のころから分かっているのにいまだ実践できていません。
やめればその分人としゃべる機会が増えますし、SNSを見ないと考え事をするのがはかどります。いまはこの旅のあとのことを思うのが楽しいです。次はアラスカでカヌーをするつもりなのでその装備のことや日程のことなど。
もともと一周するつもりの南米をバイクではなく自転車で回ってみようかな、それなら北米を合わせて北南縦断してもいい。そしてその前に英語の勉強と資金稼ぎ、訓練もかねてニュージーランドにワーキングホリデーにいき現地で自転車を買って一周してみようか。自転車にハマれば今回いけない東欧、北欧を野宿と自炊しながら回るのも楽しく安く済みそうだ。そしてそれなら今回の旅も冬で選べないルートを気兼ねなく諦めて地中海沿いを楽しめる。
などなど。あとはインド、ネパールバイク一周、アイスランド一周、エルサレム、エジプトやナミビアなどのアフリカにも興味があり、そこに自転車バイクなどの手段、釣りや登山、カヌーなどの遊びも絡んできて考えが尽きません。
普段人のつぶやきを眺める時間を自分の心を検めるのに使うのは有意義に感じます。とはいえSNSはたまに宝石のような文章や写真、絵に出会えるしそれで仲良くなれた人も多いのでなかなか絶ちがたいものがあります。何ごともバランスですね。
10月7日
朝食を作ろうといつものようにガソリンストーブのバルブをonにしても燃料が出てきません。しばらくあちこち点検しましたがどうも燃料つまりのようです。説明書もないのでうかつに分解も出来ず。もし直らなければ野宿生活にも冬が訪れます。
そのうえ走り始めるといつも強い向かい風が今日は一段と手ごわくこれまで鞭打って進んできた体がいよいよ限界に近づいてきました。カスピ海フェリーの出る港までラストスパート。
昼食に寄ったカフェでご飯を食べていると身なりのいい現地の人が同席を求めてきました。英語もペラペラでたくさん話しかけてくれるのですが、疲れすぎてぜんぜん話が頭に入ってきません。
もともと食事は食べることに集中したい派で、話しかけられ手が止まるたびやっとありつけた食事を前にやや不機嫌になってしまう事態に。これはいかんと内心思いつつ態度に出さないのが精一杯でした。
家族の英語の練習にもなるしもし急がなければぜひ家に来て1泊してくれないか、丁寧な英語で提案してくれたのですがこんな状態ではお互いにとってよくないことになりそうでお断りします。
店を出るとせっかくの誘いを断ってしまったということ自体が新たな重荷になり、体を引きずるようにバイクにまたがります。
スタンドで何を給油する気だラクダ君。
カザフスタンに入ってからは綺麗な塗りたての舗装路を走ってきたのですが港の手前数十キロの地点で道はまた国境手前のような荒れた穴ぼこだらけの道にかわり、さらにカスピ海から吹き付ける強烈な風で思うように進めません。
途中でサイクリストを追い抜いたのですが、えげつない風に阻まれ立ち漕ぎしたままなんとか後ろに下がらないのが精いっぱいという様子でした。とても声をかけられません。
港が目と鼻の先というところにくるとついにチェーンがダイヤルの限界まで伸び切り、アクセルを捻るとチェーンの余りがスプロケ周辺をたたく音が激しく跳ね返ってきます。
18時ごろにクルック港(Kuryk port)に到着しました。ヌクスから砂漠を1000kmで5日間。走行日は4日。くたびれました。
カザフスタンからアゼルバイジャンに抜ける航路は数年前までアクタウから出ていたのですが、数十キロ南のここクルック港に移転してきました。
建物はピカピカですが旅客向けの案内版もなく閑散としています。国境なので厳重なゲートがあり、無骨で入りにくい建物が3棟あってどこに行こうか困りました。
一番手前の建物に行きますが全く英語が通じずやたら感じの悪い職員に奥を指さされます。椅子のある待合ロビーがありますが窓口はありません。今度は駐車場から見て1番左奥の建物にいくと真ん中の建物に行けと言われ、そこでやっとカタコト英語が通用しました。
明日の午後に船が来るからそれまで最初に見た待合室で夜を明かしてほしいとのこと。チケットもそのとき買えるから、と教えてくれました。
先客にドイツ人カップルのツーリストもいて3人で広い待合室を使い夜を明かします。固いものの並んだ椅子はベッドの代わりに使え、枕元には電源もついていて自由に使えます。シャワーこそないもののトイレはついていて野宿に比べれば十分快適。レストランなどはないので買い出ししてきたほうがいいです。
その後夜の21時くらいに職員に召集をかけられ、真ん中の建物でパスポート、バイクの登録証、通関書類を提出。暇なのでたくさんいるバスの運ちゃんたちとなんとなくお互い顔を見てるとポツポツ会話が始まって打ち解けられました。
手続きが終わって待合室に帰るとベッドの硬さも気にならずすぐに就寝。
コメント
いい旅してますね!
私もちょうど一年前に、アフリカツインでほぼ同じルートを通ってロカ岬まで行きました。写真を見るたび、ここ通ったなぁ、とか同じ様に感じたなぁと懐かしい思いで見させてもらっています。
安全運転で、とにかくステキな旅を楽しんでください!
アフリカツインですか!
なかなか同じルートを通った方にお会いすることがないので
嬉しくなります。ありがとうございます!
お元気ですか?
しばらく更新されていませんが、一旦帰国されたのでしょうか。。
また、続きを楽しみにしてます
ご心配おかけしました。今は一時帰国して4月ごろから旅を再開します。そろそろ更新していくのでよかったらお付き合いください。