セロー250でユーラシア大陸横断 70

10月25~26日

あんまり寒いので13過ぎまでテントから出られず、撤収したら昨日テントを設営したときと同じ時間になってしまうので、そのまま本読んだり何するでもなく野宿地をうろうろ散歩して過ごしました。

野宿での楽しみといえば食事なんですけど、バーナーが壊れているのでここ最近は毎回買い置きのパンとハム、チーズ。味付けはケチャマヨに塩コショウ。ワインでなんとか誤魔化していますが野宿生活がつらく感じてしまいます。

翌日は山から太陽が出た瞬間にテントを飛び出してその勢いで野宿地を発ちました。寒さが絡んでくるといよいよ野宿地を選ぶ時の要素が多すぎて、景観の良さだけで設営するのが大変になってきます。

ボーリングくらいの岩だらけ、ときたま1mくらいの大穴が空いた河川敷から汗かいて脱出。ところが硬めのダートに出たところでリアタイヤをパンクしてしまいました。

日本一周もして8万キロ走ってきたセローではじめてのリアパンク。釘が刺さっていました。携帯していた補修材で穴を埋めて走り出したのですが、路面はご覧の有様でぬたぬたで隆起し、時折タイヤがほとんど埋まるような水たまりがあります。

初めて補修材を使ったので水で流れてしまわないかドキドキするうえ、上下に激しく揺られるのでダメダメの三半規管が根を上げて顔を青くしながらなんとか通過していきます。日影が続き前面泥と水たまりの場面もあったのですがもはや写真も撮れず。

グーグルでは表示されないルートなのですが、今まさに重機で川を埋めて道にしている個所もあり、そもそも通れてるだけで割とラッキーな道のりだったようです。その代わり泥だらけの崖上を抜けてしまえば徐々に近づいてくる素晴らしい展望の数々。

こんな道のりで出会えたこともあり忘れられない場所の1つです。

打ち捨てられた牧場の跡や迫ってくる氷河。終わりかけた紅葉と冷たい風がこの場所の空気感をよりクリアに感じさせてくれました。真っ直ぐ岩山には向かわず大きく折り返した道はかなりの勾配で反対側の山の頂へアプローチしていきます。

これまで見えていなかった高原に急に足を踏み入れます。枯れ草が広がり道自体の見通しは悪いのですが、藪を抜けると急に高所にある秘密の山域にやってきたような感じです。道はかなり荒れているものの、思わず流して駆けるように進んでしまいました。

峠の周辺になると雲が現れていまにも雪が降りだしそうな気配でした。もし機会があるならば夏にまた来てみたいところです。

峠をパスすると高原の斜面に張り付くようにして村が現れてきました。ここがウシュグリのようです。この辺の地形が面白そうで目立つ地名を目指して走ってきただけなのですが、ここが目的地でよいと思えるくらい村の雰囲気が気に入り、昼間ですがさっそく宿を取ることにしました。

アクセスの仕方が絶望的に悪かっただけでわりと名のある観光地だったようです。たくさんの宿にちょっとしたバーなどが立ち並んでいて寝床には困りませんでした。目についたところで2食付きで40リラにしてもらい宿を確保。広い中に羊や馬、犬が駆け回っています。

久しぶりの個室をゲットしたのでベットに寝転んだんですけど、そのまま30分くらい落ちてしまって疲労感を自覚しましたね。今日は暖かい食事も取れるのでご機嫌です。眠ってすっきりしたのでそのまま村に繰り出します。

歩くのに楽しさが約束された景観なのでいてもたってもいられないくらいそわそわしてるわけですが、疲れもあるのでバーで軽い食事とビールを飲んでまずは一息。

石造りのたまらない建物たちに挟まれる幸せな細い路地をあてもなくぶらぶらします。一杯ひっかけてご機嫌なところに犬が何匹も寄ってきてこの世の楽園。

歩いて可愛い食べておいしい。

さきほどの峠は夏に来てみたいわけですが、ここウシュグリはもしかしたら今が歩いて回るのに一番よい時期かもしれません。スキー場のオフシーズンのように板を打ち付けられた建物が目立ち、村のキャパに対して出歩く人も少なく思えます。

ありがちですが狭い迷路のように感じる路地はいつまでも歩いていたくなります。

丘の上に教会が1つ。山に抱かれたようにぽつんとある村なので少し小高いところに登れば、谷向の山と一緒にこれまで通ってきた路地や家々が一望できます。

20分もあれば歩けそうなところを1時間弱かけて村をひとまわりしてきました。夕ご飯は野菜多めで旅暮らしには嬉しいメニュー。偏食と疲労がたたったのか余り量を食べられなくてちょっとショックでした。

隣のテーブルに日本人らしき女性がいたのでお話ししてみると旅8年目のベテランバックパッカーさんで、ウシュグリにも近くの町から歩いてきたとのこと。トレッキング情報をいくつかいただきました。

煙草を吸いに外へ出るとすでに焼けたあとの山の輪郭がぼんやりと残っていて綺麗でしたね。寒さに震えてもすぐに暖かい部屋とベッドが待っているのが幸せでした。

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