セロー250でユーラシア大陸横断 50

9月7日

朝には風が止んでやっと穏やかにすごせます。砂まみれで食事を作る気にもなれず、淡々と撤収。

今日も入り組んだ崖沿いを進んでいきます。石清水を見つけて補給。キンキンに冷えていて荒涼としたこの場所ではとても贅沢な気持ちで飲めます。

崖がどんどん広がっていき、対岸の様子もよく見えるようになってきます。対岸のアフガニスタンも崖に道が張り付くように続いていて、ロバに乗って歩く人の姿が小さく動いていました国境が隔てているものの、人の暮らしも建物も違いはないように見えます。

ここ最近馬を見ることがなくなり代わりにロバが人の生活を文字通り支えています。力持ち。馬はかっこいいですが、ロバはなんともいえないこの顔のとぼけた感じと全身をみたときのぬいぐるみ感がたまらなくかわいくて大好きになりました。

ワハーン回廊に入って初めての町にやってきました。かなり高い崖上からつづら折れでどんどん川へ下っていくとうずたかく積まれた石垣が両サイドに現れ、入り組んだそれを縫うように道が続いています。林に囲まれた石垣の集落はひんやりと涼しく、石垣大好きなぼくにはたまらない空間。

通りに出ても道の脇に街路樹と石垣、畑が広がりなんとなく日本の田舎のようなのどかさ。農作業中の女性たちも笑顔で手を振ってくれます。キルギスやモンゴルの結構女性はむすっとしてたので新鮮な反応。

地図ではガソリンスタンドになっているところがただの小屋で右往左往していると、地元のおじいさんたちが声をかけてくれてガソリンを売ってくれるところを教えてくれました。近くの商店で管理していたので買い物ついでに声をかけて、先ほどの小屋に入っていたドラム缶から手動で給油してもらいます。

山の上に温泉があるようなので急登のダートを登ってみましたが、温泉の小屋にカギがかかっていて入浴不可。窓からのぞき込むと浴槽に温泉が注いでいるのが見えて生殺しです。山の上にも道が続き時折家があって素晴らしい展望でした。流行ってほしいインスタのタグ、ロバのいる景色。

道がまた川沿いになり深砂利のダートを快走。集落と集落の間にかなりの距離があるのに何人も歩いている人が居て暮らしが垣間見えます。旅は生で人の生活を見ることが出来るので、より暮らしを想像する手助けになると思います。写真映えする場所でもありますが、そんな点でワハーン回廊のことがとても気に入りました。

川沿いに民家ではなさそうな小屋があり、見てみると近くから茶色い水が流れていることが確認できました。思わず扉を開いてみると、やはり温泉!小屋自体は小汚いものの浴槽は綺麗で湯に満たされています。

たぶん半年ぶりの温泉に浸かってみると温度は35度ほどでかなり温め。泉質は山梨の韮崎温泉と似ていて細かい泡が肌にまとわりつき、湯がするするとしていて心地よいです。熱いお湯が大好きなのですがこの泉質は数少ない例外で好み。1時間くらい入るとぬるいお湯でも体が芯からほどけるようでした。日焼けで荒れた肌もツルツル。

ワハーンのひとたちは働き者で子供から大人まで家族総出で畑仕事をしたり、男は放牧に行き女性は商店で働いたり家の仕事をしています。次の町で簡単な食事をとりました。

温泉上がりの心地よさに従ってバイクを停めては川沿いで座り込んでゆるく時間が過ぎていきます。畑の脇を走りながら川沿いに野宿地を探していると、畑と川に挟まれた広い空き地がありテントを設営。

今日も絶景野宿地です。川でひやしたビールを飲みます。タジキスタンからどこにもお酒が売っていなかったので一週間ぶりのビールなのに不思議とまずくて首をかしげます。こんなに酒を切らすことはまずないので体が健康になりつつあったのかも。

対岸は別の国でそれがニュースでよく知るアフガニスタンという状況が面白い。小さいころから危ない危ないと聞いてきたけれど、自分の目で見る対岸の国は平和そのものでした。きっとこちら側と同じで素朴で穏やかに暮らしている人がほとんどで、そういう国際的なニュースになる危険に一番振り回されているのはその国の人たち自身なのでしょう。行ってみたいという利己的な由来の気持ちですが、平和になってほしいと思います。

温泉で死んでいた血行が蘇ったようで、やたらと体がぽかぽかと温かくシュラフに入っていられないほど。夕方から突然風が強くなり昨日の焼きまわしに。砂まみれで寝転がり風に打たれるテントを内側から足で押さえながら、昨日よりは幾分穏やかな気持ちで夜を過ごしました。

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