8月30日
オシを出発。タジキスタンとの国境にレーニンピークという標高7134mの山があります。沈没中仲良くなった方がそのピークを目指すそうなのですが、第一キャンプまで登山にご一緒することになりました。ベースキャンプまではバイクで行けてすでにそこから景色がいいそうです。
レーニンピークの最寄りの街サリモゴルまで谷沿いの綺麗な道が続きます。どこを向いても景色のいい山があり、どの山へもダートのか細く頼りない道が続いています。待ち合わせが無ければこの辺で1泊してしまうだろうという面白そうなエリア。
いくつかある町のどれも素敵な暮らしが垣間見えます。
断崖と赤い川が現れ、対岸にレーニンピークの雪山が見えてきました。今日の夜は鍋の予定だったので肉を探していたのですが、どこにも見つからず結局いつものウインナーを購入。
地図上では街の対岸にベースキャンプの入り口がありそうなのですが、橋が無く川越えが必要なので西に20kmほど迂回。橋を越えて荒れたダートに突入。
固い隆起した地面に時折深い砂地があり、なかなか苦労しましたが顔を上げれば常に報われるこの光景。
夕方にベースキャンプについたものの、待ち合わせした宿泊施設が閉まっており、待ち合わせの方もタクシーの遅延で着けていないので電波のないここで無事合流できるのか分かりません。トラブルと道のりですっかり疲れましたが、夜テントから見るこの星空。なんとかなってもならなくても些末な問題という気がしてきます。
8月31日
テントの外から口笛と日本語で起こされ、外に出てみるとなんと一緒に上るMさんが馬で登場。遊牧民も一緒で、聞くと馬でキャンプまで荷物を運んでくれるポーターとのこと。待ち合わせたユルタという天幕の横にテントを張っていたのですが、ここもそのおじさんの持ち物らしい。大型トラックに積むコンテナが2つあり、うち1つにバイクを入れて鍋やガスコンロ、シュラフなどをポーターに持ってもらいます。
山に囲まれた谷川沿いをゆるやかにゆるやかに登っていきます。長時間の登山は今年1度もしておらず、スタート地点から標高3500m越えの高地なのでペース調整に気をもみます。高地慣れしてるMさんにお手本を見せてもらうと僕のペースよりさらにスロウ。6000m越えると1歩ごとに止まることもあるそうです。
ついに現れた急坂を登り切ると視界に入りきらないほどの山脈が飛び込んできます。下に見える黒い部分は土や岩ではなく氷。巨大な氷河を抱えた山域なのです。
常に崩れている崖の上に砂やがれきで出来た道が張り付くように続きます。そんな崖の縁を踏みながら歩みを進めると氷河、雪山、時折現れる奇岩。ときおりアップダウンはあるものの、ほぼフラットに景色を見ながら進める部分が多く、僕にとって理想的な登山。
川を越えたりいくつか急登を超えるうちにすっかり息が上がってしまいました。ここ3年ほどたくさん山を歩いているのにシーズン初めごとに体力がリセットされるのが納得いきません。キャンプ1についたものの、聞いていたキャンプ地が閉まっていてしばらく捜索。結局遠くに見えるゲルがそうだとわかったのですが、道が無い氷河の中を歩くはめになりました。
貴重な経験ではあるし氷河のど真ん中を歩くロマンは楽しめたのですが、とにかく道が悪く氷の上に薄く瓦礫が乗っている地形なので、なんでもない斜度で踏ん張ると瓦礫が崩れた拍子に氷がむき出しになり、まさにツルりと滑り落ちて膝を打ったりと疲れたところに追い打ちをかける展開。
貸しテントが1張り30ドルなので2人でシェアして15ドル。ちなみにこの山域に入るためのパーミットをオシで取得したのですが、それも30ドルでした。
昨日やるはずだった鍋パーティーをを4000m越えのキャンプ地で開催。調子に乗ってワインにたばこも解禁。あとのことは明日の自分に委ねます。