セロー250でユーラシア大陸横断 49

9月5日

テントを出て見つけたスタンドで給油。今日もパミールを走り始めます。川幅がどんどん広がり、道の標高が下がってきたのか周りの山が見上げるほどに高くなってきます。パミールとはタジク語で世界の屋根という意味だそう。粋な名前をつけますね。

パミールの終点がホログという町になるのですが、街に近づけば景色が悪くなるのかと思いきやまったくダレることのなく1つコーナーを曲がるごとに新しい驚きが待っています。バックパッカーはタクシーでパミールからワハーンへ接続してホログまで行くのが主流のルートのようですが、ちょっと優越感。パミールは最後まで魅力たっぷりです。

まさに屋根。落ちるように山肌を流れる沢を見たときの、気の遠くなるような感覚を覚えています。

町に近づくほどだんだん道中の集落に人が増え、みんな笑顔で手を振ってくれるので嬉しいのですがいい大人が朝から晩まで道路で農作業をするでもなくただただ舗装路をうろうろしたり座り込んだりしているので大丈夫かこの国…と思ってしまいます。

中央アジアで一番物価の安い国はキルギスだというので一番キルギスが貧しいのかと思いきや、田舎の街の様子や道路などのインフラを見ていると明らかにタジキスタンの方が貧しそうな感じがします。思い返すとキルギスの人は結構働き者でした。

ホログに到着。立地にしてはそこそこ都会でしたが、ATMがどこにいっても稼働しておらず困惑。軍事車両がたくさん並んで軍人や一般人でごった返していたのでなにか祝日かイベントのある日だったのかもしれません。結局あきらめてシャワルマという現地のケバブ的なものを昼飯に食べてパミールを引き返します。

物価はキルギスよりやや高いかな?くらいであまり違いはありませんでした。たばこにいたっては1箱60円以下のものがありありがたい限り。

往路は西日が進行方向に差すのでまた違った景色がくっきりと見えてまさに2度おいしい状態。想像以上に飽きません。目をつけていた川沿いの林の中にテントを張って就寝。久しぶりに森に近いほど緑の多いところで過ごせてゆったりすることができました。

9月6日

さすがに標高のあるので朝はやや寒いです。朝食にリゾット。仕上げにナイフでチーズを削り入れるのが楽しくて食べておいしくこの頃ハマってます。米があまりおいしくなくてもしっかり油でいためてリゾットにするとおいしく食べられるし味付けも具もバリエーションがあるのでよい旅飯を見つけました。

テントからちょっと林を歩くとリバーサイドの好立地でした。魚こそいないものの透き通った川が美しく見てるだけで心休まります。

パミールからワハーン回廊の分岐に戻ってきました。ワハーン回廊はアフガニスタンとの国境になっている川沿いの崖上に道が続く絶景道とのこと。パミールとワハーンは旅前は知らなかったのですが、知らないで家を出ても必ず道中旅人から勧められるのできっと皆たどり着きます。

入り口からダートで深い砂地の中を続く道。風も強くなかなか過酷。自転車乗りにはパミールと並んで聖地的な場所らしいのですが、自転車には難易度が高そうです。

砂漠で休んでいるとロシア人3人組のライダーがやってきました。1台はBMのタンデムで1台はKTMの400。ドリップコーヒーをごちそうになって砂漠で座り込み車座でしばし歓談。

ゲートがあったのですが無人で人が現れる気配がないので突破。出口で不法侵入扱いされたらいやだなと気をもんでいたのですが、通年無人だそうで他のう回路があるようです。いよいよワハーンに入ってからもかなり悪路。とにかく深い砂が続き、砂を抜けるとブルでならした道が洗濯板のように隆起してバイクはガタガタと激しい振動にさらされます。

大型バイクや自転車でここを抜けるのは相当大変なのではないでしょうか。好きな乗り物で旅をするのが一番だと思いますが、自分の好みが250ccのオフ車であることに少し感謝する瞬間でした。

驚いたのが遊牧民が歩いて羊を追っているところ。毎日朝から晩まで何十キロも歩くのでしょう。まるで神話のような暮らしです。きっとそんな時代からほとんど変わっていない光景を自分の目で見られる感動。しかし現実に帰ってみると狭い崖上で大量の羊が道をふさいで歩き、そんな家畜の一団が10分おきごとに歩いているのですり抜けるのがかなり億劫です。羊飼いたちはフレンドリーで手を振ってくれるし、羊の動きが渋くて通れないときは棒で追い払って道を開けてくれます。

対岸のアフガニスタンにも道はありますが、まだ建物などはなく向こう側もおそらく遊牧の人々が使う道のようです。がけがコの字に入り組み、山に向かって走ったり川沿いに戻ったりと忙しなく景色が変わります。悪路ですがこんなに楽しい道もなかなかないでしょう。

巨大な渓谷にでました。左手に谷を眺めながら崖を抜けていきます。疲労もあり川沿いに出てしまうとテントを張れない可能性があるのでこの辺で野宿することにしました。パミールで全然店が無く、飲み水を手に入れれないまま来てしまったので安全そうな沢水を汲んで使用。

目の前に谷とアフガニスタンの雪山が広がる絶景地でしたが、テントを張った直後に強い風が吹き始めてポールがゆがみテントがひしゃげるほどになってしまいました。崖上の地質がもろい砂地だったので巻き上げられた砂がテントにどんどん入り込み、入り口を完全にふさいでも布地を貫通してテント内が砂まみれに。絶景の代償はあまりにも大きく久しぶりに悲惨な野宿で夜を過ごすことになりました。

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